2019年、日本は厳しい安全保障環境に直面している。北東アジアでは、北朝鮮の核、ミサイル問題、東シナ海での中国による現状変更の試み、さらに、日米同盟の管理や日韓の対立、ロシアとの外交交渉など、課題は山積している。しかし、外交的視野を北東アジアの外に広げると、国際秩序をめぐる大きな地殻変動が生じている。日本の将来にとって、21世紀の経済的発展の中心となるアジア地域において、国際秩序をめぐる変化を適切に理解し、自らの国際秩序構想を描き、その実現に向けて行動することは、近隣諸国との外交問題と同等かそれ以上の重要課題であろう。