Kanda University of International Studies
※本コラムは、当研究所と韓国・国立外交院外交安保研究所の共催で2013年7月5日にソウルにて行われた日韓協議に際し作成したディスカッション・ペーパーに加筆修正を施したものである。
日韓関係は東アジア、とりわけ北東アジアの安全保障アーキテクチャ(architecture)を支える重要な戦略軸(strategic axis)である1。同盟(準同盟)協力(米同盟ネットワーク)、機能的協力(災害支援、PSI, 六者協議など)、全域的協力(ARF, ASEAN+3, ADDM-Plus, EASなど)にみられる東アジア・北東アジアにおける多層的な安全保障協力の全ての領域において日韓両国は連携し、協力している。しかし、いま、日韓戦略協力は羅針盤を失い、漂流しはじめている。両国のリーダーシップは、歴史、領土問題の再燃、そして新たな戦略環境変化に共同して対応できていないのである。
日韓戦略協力(外交・安全保障協力)には二つの要因が影響する。第一に、日韓間の歴史問題(慰安婦問題、靖国神社参拝問題等)、領土問題(竹島/独島)である。歴史・領土問題と戦略的協力(外交・安全保障問題)は本来異なるものであるが、前者が後者に影響するかどうかは、当該国家の外交戦略とそのマネージメントに左右される。日韓関係の場合、歴史問題と外交・安全保障協力は構造的にはリンケージしているが、戦術レベルでリンケージ(linkage)していくか、切り離して(de-linkage)いくかは、そのときのリーダーシップの判断にかかわる。構造的にみれば、韓国にとって歴史ファクターは無視できない。歴史問題(「過去史」)は、自国のアイデンティティに関わることでもあり、日本による植民地支配と侵略について歴史認識を共有することは日韓「パートナーシップ」の「信頼」のための試金石となる。自由、民主主義、市場経済など価値を共有している「未来志向」のパートナーシップだからこそなおさら重要になる。1998年に小渕恵三首相と金大中(キム・デジュン)大統領が署名した「日韓共同宣言」では21世紀の日韓関係の基盤となる歴史認識(村山談話)と(戦後の)原則と価値観が確認されているが、それに再びどう向き合うかが問われている2。
第二に、日韓戦略協力(外交・安保協力)に直接、影響を及ぼすのは、両国を取り巻く戦略環境の変化である。ここでとりあげる戦略環境の変化とは、主に北東アジアにおける米国、北朝鮮、中国のファクターである。中でも中国の台頭(中国ファクター)は北東アジアにおける力のバランスを変え、日韓関係に影響している。日韓協力は、各要因に対する両国の戦略、政策、認識によって進度が左右される。今年、日韓首脳会談、外相会談などが延期されたのは、歴史問題が影響したことは確実であるが、それとともに朴槿恵(パク・クネ)政権の戦略外交の計算、とりわけ韓中外交が影響したといえる。尖閣諸島問題をめぐる日中関係の悪化により、5月にソウル開催予定であった日中韓首脳会談が中止されたという環境要因もある。日本は、歴史問題のプリズムだけにとらわれず、中国ファクターも考慮し、韓国が新たな戦略外交に着手しはじめていることを冷静に捉え、日韓協力の価値について再考していくべきである。
朴槿恵政権は、前李明博政権の「グローバル・コリア」の成果を継承し、米韓同盟を基軸としつつ、外交ではとくに朝鮮半島(韓半島)と北東アジア(東北アジア)の平和と安定を中心に据えている3。それが「韓半島信頼プロセス」(対北朝鮮政策、南北交流)と「東北アジア平和協力構想」(ソウルプロセス)の二つの柱から成る朴槿恵大統領の「信頼」外交(Trustpolitik)である。そのために、朴大統領は、5-6月にかけて、先ず米国、次に中国との首脳外交を終え、戦略外交基盤を築き始めている。次の焦点は日本となるはずだが、日韓両国ともにこの機会を捉えて環境整備が進められることが期待される。
日韓関係はいまのところ歴史問題で停滞しているが、徐々に歩み寄りの姿勢もみえはじめている。去る4-5月に朴槿恵政権は、安倍政権の閣僚の靖国神社参拝への対抗措置として、日韓外相会談を中止し、歴史と安保をリンケージしたが、6月に入り、李丙琪(イビョンギ)・駐日大使が着任し、徐々に「外交再開」の地ならしが始まった。6月のアジア安保対話(シャングリラ・ダイアローグ)では、米国の強い後押しで、三年ぶりに日米韓国防相会談が開催された。7月1日、ASEAN地域フォーラム(ARF)(ブルネイ)で朴・安倍両政権にとって初の日韓外相会談が尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と岸田文雄外相の間で開催された。防衛相会談はまだ実現できていない。今後も地道に実務、閣僚レベルの努力を継続し、いずれは日韓のトップリーダー、首脳どうしの意思疎通と「信頼回復」を図る必要がある。そこで築かれた両国間の「信頼度」によって、日韓戦略協力(外交・安全保障協力)の「深度」と「進度」が左右される。
以上の通り、日韓戦略協力には様々な要因が影響する。現況を考えれば、歴史問題に対応し、「信頼回復」を図ることが日韓戦略協力を進めるために必要なステップとなる。それと同時に、日韓両国は、いま直面している戦略的課題に「現実的」に取り組まなければならない。本稿では日韓両国が直面する北東アジアにおける戦略協力の課題として、以下、三つのファクター(米国、北朝鮮、中国)に焦点を当てる。
日韓戦略協力の三つの課題
(1)米軍の「リバランス」:日米・米韓同盟と日米韓協力の進化(米国ファクター)
日韓両国は米国の同盟国であり、日米同盟ならびに米韓同盟は日韓各々の安全保障政策の基軸である。また米国との同盟を通じて日米韓三か国は「準同盟」的な協力関係にある。前ブッシュ政権時代のGPR(国防態勢の見直し)下で米軍再編を含む日米同盟ならびに米韓同盟の「変革」が進められた4。ブッシュ政権の再編は、いわゆる対テロ戦争/南西アジア重視の世界的な米軍再編を主眼としていたが、オバマ政権の登場で、南西アジア、即ちイラクならびにアフガンからの米軍撤退が進み、ワシントンは再びアジア重視(「アジア旋回(Pivot to Asia)」)の姿勢を打ち出し、とくに中国の台頭を念頭においた米軍の「リバランシング(Rebalancing)」を進めている5。戦略的な計算に加えて、米議会からの予算削減の圧力も大きく影響している。リーマン・ショックの「つけ」がまわってきたともいえるが、2011年末、米議会がオバマ政権に義務づけた米財政赤字削減には国防予算の大幅な削減が含まれ、同盟国、とくに日韓両国への負担分担(予算のみならず防衛能力)の要請は益々強くなっていくであろう。第二期オバマ政権にとって、国防予算削減の要請に応じながら、アジア「リバランス」戦略をどのように「実施」していくかが課題であり、同盟国である日韓両国も対応を迫られている。
現在、日韓両国は、米「リバランス」戦略に対応しながら、各々の防衛・安全保障政策、同盟(日米同盟、米韓同盟)の構造調整を進めている。これは日米韓三か国にとって新たな戦略的「機会」でもあるが、歴史問題等をめぐる日韓の不和により、外交・安保政策をめぐる当局対話は十分に進められていないのが現状である。日韓防衛会談も実現できていない。対話が十分に行われなければ不要に疑心暗鬼が募り、協力を深化させる機会を見逃してしまう可能性がある。現状を考えれば、同盟に絡む案件でもあるので、米国も含めた日米韓三か国対話の枠組みで防衛協議を進めることが効果的である。とくに留意すべき事項として、以下を指摘したい。
先ず、日本の安全保障政策ならびに日米同盟の動向についてである。国家安全保障会議(NSC)の設置、防衛省・自衛隊内の組織改革、集団的自衛権の解釈変更、情報秘密保護法、武器輸出三原則の見直し等、安倍政権が現在進めている安保・防衛関連改革は重要な変化であり、韓国側に単純に「右傾化」として捉えられないようにすることが重要である。1996年前後の日米防衛ガイドライン改定の時期と同じように、予定される新防衛大綱、日米防衛協力ガイドラインの見直しについて隣国との戦略対話を進める必要がある6。対中リバランスに関連する事項(例、南西諸島防衛、水陸両用機能の強化)のほかに、朝鮮半島有事、対北朝鮮弾道ミサイル防衛の強化など、センシティブな項目が含まれる。これら新しい改革や方針が日米間のみならず日米韓、日韓の防衛協力にも影響することは間違いなく、安保パートナーとして何をお互いに期待できるのか(そして期待できないのか)について理解していく必要がある。また、米韓同盟で検討している諸課題についても日本側は理解を進める必要がある。2009年の米韓同盟未来ビジョンに基づき、翌年、初めて米韓国防協力指針(日米防衛協力ガイドラインに値する)ならびに戦時作戦統制権移譲計画を含む「戦略同盟2015」を策定した7。最近、戦時作戦統制権移譲の見直しも取り沙汰されているが、今年10月の米韓安保協議にて一定の方向性が示される予定である。その他、在韓米軍再編や基地移転、対北朝鮮作戦計画、弾道ミサイル防衛、海洋安保など、様々な課題への取り組みが進行中である。
さらにこれらが日米韓ならびに日韓防衛協力にどのようなインプリケーションがあるのかを検討すべきである。日米韓協力はもはや対北朝鮮防衛協力のみならず、その他の地域ならびにグローバルな国際平和安全保障活動へと拡大、進化している。そのような新たな同盟ならびに同盟間協力を反映して、2010年の日韓新時代共同研究プロジェクト(有識者)の両国政府への提言では、「日米・韓米同盟と日韓安全保障協力の強化と発展」について次のように表現した。
「日韓両国は、各国の米国との同盟関係が自国の安全保障にとって肝要な役割を果たしてきたと
認識しており、米国との同盟が今後も東アジアの平和と安定のための役割を維持、強化していくと
同時に日韓米三カ国間の認識の共有、安全保障協力の拡大を推進する。21世紀の日米同盟と韓米
同盟は過去の同盟とは異なり、特定の敵国を想定せず、東アジア共同の軍事および人間の安全保障
の脅威に対処し地域秩序の不確実性に備える相互互恵的で協力的なネットワークとして進化してい
る。こうした安全保障関係においては政府を中心に多様な主体が国防、地域安全保障、人間の安全
保障、経済、社会文化交流などで多面的に協力することが重要であることを認識する。8」
日米同盟と米韓同盟の公式文書(2プラス2)(2011年と2012年)においても、北朝鮮問題のみならずより広い地域ならびに人間の安全保障を含むグローバルな安全保障協力に拡大していくことが確認された9。2013年6月のアジア安全保障対話(シャングリラダイアローグ)で開催された第4回日米韓防衛相会談では、対北朝鮮政策協調の確認とともに、海賊対策(ソマリア沖、アデン湾)、人道支援/災害救助(HA/DR)、捜索救難(SAREX)、WMD拡散対抗(PSI)などの国際平和安保活動協力の拡大に合意した10。このような広い文脈の中で、たち切れになった日韓GSOMIA(軍事情報保護協定)やACSA(物品役務相互提供協定)など、日韓間の具体的な成果につなげていく努力も、可能な限り、追求していくべきである。
(2)北朝鮮問題:日米韓協力と六者協議(北朝鮮ファクター)
北朝鮮問題は日韓戦略協力にとって目前にある最優先課題の一つである。金正恩政権の不透明性、軍事挑発、核・ミサイル開発の進展は憂慮されるべき事態である。日韓両国は、朝鮮半島における平和と安定を大前提に、米国との同盟を基盤として、北朝鮮に対する抑止と防衛、制裁、関与で協力している。以下、それぞれの政策手段の状況と課題についてとりあげる。
まず、対北朝鮮軍事協力(抑止と防衛)については、依然として、米国との同盟(日米・米韓)ならびに日米韓「準同盟」的な協力が不可欠である。朝鮮半島有事に対しては米韓ならびに日米同盟で各々の作戦計画を進化させているが、両同盟間の意思疎通と協力の必要性はますます高まっている。近年の北朝鮮の軍事挑発(局地挑発)の増加(2010年の天安艦沈没事件、延坪島砲撃事件)とともに、核・ミサイル開発の進展11(2013年2月の第3回核実験、2012年12月の光明星3号人工衛星発射実験(事実上の長距離ミサイル実験)は、日米韓防衛当局の緊密な協力を余儀なくしている。そのために拡大抑止に対する認識の共有、弾道ミサイル防衛の能力向上、情報ならびに作戦協力は今後の重点課題となる。とくに弾道ミサイル防衛にとって日韓GSOMIA(軍事情報保護協定)の締結は国防・防衛当局の情報協力などを円滑化する上で有用である。また、半島有事への備えとして、平素より、英豪加などの国連軍司令部(UNC)関係国との協議、協力も進展させていくべきである。日米韓は同盟のみならず国連集団安全保障の枠組みでも協力しているのであり、国連軍前方司令部(ソウル)と後方司令部(横田)を拠点として関係国との協議を進めていくべきである。2013年春の北朝鮮の軍事境界線をめぐる一連の挑発(休戦協定破棄等)は国連下の休戦体制への挑戦であり、日米韓は国連とともに対応を図る必要がある。
次に、北朝鮮問題、とくに核問題をめぐる外交協力(関与と制裁)についてである。この方面では、日米韓に中国を加えた米中日韓の協力がコアを成す。対北「関与」(対話)の包括的な協力枠組みが2003年以来、中国を議長国とする六者協議(南北朝鮮、米中日ロ)であり、「制裁」(圧力)の枠組みとして、各国の独自の経済制裁とともに、国連制裁がある。六者協議は北朝鮮の拒否で08年以来、開催されていないが、その間、国連制裁は強化されてきた。2006年以来、北朝鮮の核・ミサイル実験が実施される度に国連安保理決議の内容は強化され、2012年5月に初めて専門家パネル報告書も公表された12。国連も一枚岩ではなく、制裁は万能ではないが、北朝鮮の核・ミサイル開発の制限・遅延には一定の効果はある。
もう一つの課題は、外交交渉、即ち「関与」枠組みとしての六者協議である。六者協議再開の見通しはまだたっていないが、最近、北朝鮮は対話攻勢を再開し、中国の働きかけもあり、六者協議参加について態度を軟化させている。六者協議は、五者(日米中韓ロ)の対北政策調整・協議枠組みとして有用性はあるが、次のラウンドを開催できた場合、五者はどのような交渉戦略をとるのか、足並みを揃えることができるのかは不明である。日米韓にとっては非核化という原則と目標は絶対条件であり、2005年9月共同声明が起点となる。しかし、二つの新たな問題が浮上している。一つは、北朝鮮は核保有国としての意思を国内外で表明し、核交渉を難しくしている。2012年4月の金正恩政権発足とともに、核保有国宣言を、対外発表だけでなく、新憲法(2012年4月)に記し、国内法化した。このことにより2005年9月共同声明の前提が崩れ、「核取引」はますます困難になった。二つ目の問題は、北朝鮮の核開発の新たな進展である。プルトニウムに加え、まだ手つかずのウラン濃縮計画が問題となっているが、北朝鮮は、2010年頃から「平和利用」と称する実験用軽水炉(寧辺付近)の建設を進め、ウラン濃縮計画を燃料として利用するという新たな戦術を打ち出してきている13。同施設が稼働すれば、プルトニウムとウラン濃縮がリンクした新たな核拡散の問題を抱えることとなり、ジレンマとなる。原発の安全という側面も重要になる。さらに、核交渉が停滞する中、条件付きの関与の枠組みとして、韓国が新たなイニシアチブをとろうとしている。朴槿恵政権の「朝鮮半島(韓半島)信頼プロセス」である。朴槿恵政権も従来通り、非核化を大前提としているが、それとは別トラックで、南北対話・交流再開の一環として、去る4月以来中断されていた開城工業団地再開で合意を模索している(7月現在)。今後、南北交流がどのように展開するのかが注視される。また、韓国は、日米韓、日中韓に加えて、米中韓という三つ目のトライラテラルの育成に注力しているが、米中韓がどのように活用されるのかはまだ不透明である。例えば、米中韓を起点に平和体制を協議するかつての枠組み、四者協議(南北朝鮮、米中)へとつながるのか。以上の通り、日韓をはじめ六者協議関係国は対北朝鮮「関与」政策において新たな課題に直面している。
最後に、北朝鮮問題をめぐるもう一つの側面、人権問題についてとりあげる。いうまでもなく北朝鮮問題をめぐる日韓協力において人権問題は無視できない。日韓両国は各々、拉致被害者、脱北者などの問題を抱えている。米韓両国の場合、さらに朝鮮戦争以来の捕虜問題も抱えている。米韓の場合、人権問題は、核・ミサイル問題とは戦術的には切り離して追求しているが、日本の場合、2002年日朝平壌宣言に基づき、日朝国交正常化の前提として、「核、ミサイル、拉致」の包括的解決を求め、ある時期、戦術レベルでも核と拉致問題をリンケージして追求していた。2006-08年の六者協議の時期である。しかし、核と拉致をシンクロ化して動かすことは難しく、六者協議内でも乱れが生じ、米韓など協力国との不和が生じた。今後、拉致、人権問題についてどのように追求していくのか、新たに戦略を立てる必要がある。日本政府は、六者協議の協力国と連携しながらも、「核、ミサイル、拉致」の全ての問題について、より柔軟に追求するにはどうすればよいのか、交渉戦術についても関係各国の理解と支持を得ていく必要がある。また、最近は、国連北朝鮮人権調査委員会の設置など、国連機関も北朝鮮の人権問題への取り組みをさらに強化している。日本は、米韓中をはじめ地域各国とともに、国際機関と連携し、脱北者問題を含む、より広い観点から北朝鮮の人権問題に取り組み、日朝の拉致問題等の解決を追求していくべきできある。
(3)中国の台頭:日中韓協力と北東アジア平和協力(中国ファクター)
中国の台頭とどう向き合い、どのような北東アジア秩序を形成していくかは、日韓両国にとっての共通の戦略課題である。日韓両国とも先進的民主主義国家であり、かつ米国との同盟国であるという共通点をもちつつも、地政学的位置、安全保障と経済、歴史要因が異なることにより、優先順位やアプローチの差は生じる。両国はお互いの違いに配慮しつつ、同じ共通目標に向けて、相互補完的な協力を進めて行くことが「賢い」方法であろう14。
日韓の対中戦略の共通目標は、日韓両国政府がコミッションした有識者の「日韓新時代共同研究プロジェクト」(2009年1月発足)の政策提言(2010年10月)において包括的に示されている。同報告書の「国際政治」編の「中国の浮上と新たな東アジア地域秩序構築のための協力」では、以下の通り記された。
「中国が経済的、軍事的に成長し、政治的な影響力を拡大している状況で、日韓両国は中国の発展
を歓迎すると同時に中国の浮上が国際政治においても肯定的な影響を与えるよう意見交換していく。
中国を含めた二国間、三国間関係を全般的に濃密にし、信頼醸成やリーダー、公務員、専門家間の
交流を更に進め、日韓中首脳会談を活性化させるべきである。15」
つまり、日韓両国は、中国の国際社会における平和的台頭を促すよう、二国間、三国間、多国間の枠組みを通して主に「関与」政策で協力するということである。これが両国の基本的なスタンスである。とくに懸念される中国の軍事的台頭・軍事的近代化についても、以下の通り、対中「関与」のスタンスで共に対処しようという姿勢である。
「日韓両国は、中国の軍事的発展が地域の平和に貢献することを期待し、中国と信頼醸成措置や軍備
管理対話のような安全保障会談・交流を積極的に推進する。日韓両国は中国が東アジアの共生複合ネ
ットワークに積極的に参加することが中国の持続的な発展に有益である点を強調し、中国が東アジア
ひいては国際社会において責任ある大国として行動することに共に協力する。16」
以上を基本的なスタンスとして、同報告書は、各論として主に三つの分野、北朝鮮問題、海洋安全保障(東シナ海、南シナ海)、人間の安全保障(エネルギー、地球規模課題、テロ、麻薬、国際犯罪、大量破壊兵器の拡散、疾病、災害など)における協力に焦点を当てた17。
「日韓新時代共同研究プロジェクト」の提言は、中国の台頭という新しいファクターを考慮した「新時代」の日韓の対中戦略指針を有識者レベルで明示化したものである。今後、日韓両国が政府レベルで対中戦略を検討する際の指標となる最初の重要な一歩であると評価できる。しかし、2013年に入り、「新時代」プロジェクトの提言が示した対中戦略指針にとって早くも新たな課題が浮上している。
第一に、日韓の対中関与の基盤となる日中韓協力の停滞である。昨年来、二国間(日韓、日中)の歴史や領土問題をめぐる不協和音が際立ち、ハイレベルの三国間協力に支障を来している。尖閣諸島をめぐる日中対立により、中国の意向で、今年5月、(08年に日中韓サミットがASEAN+3から独立して開催されて以来)初めて、日中韓首脳会談(ソウル)が中止(延期)され、開催の目処が立っていない。
日韓の対中戦略協力にとって日中韓協力の枠組みは重要な枠組みである。韓国の提案で日中韓協力事務局がソウルで開設されたが、EUのブリュッセルやASEANのジャカルタのように、ソウル事務局はうまくいけば北東アジア平和協力を促進する拠点となる可能性をもつ。日中韓協力は主に非軍事分野、即ち経済・社会共同体形成に役立つが、「日中韓三か国協力ジョイントビジョン2020」に防衛・安保対話(「三カ国防衛対話」)の可能性について言及されているように、軍事面での信頼醸成の手段としても活用できる18。日中韓協力では、伝統的な安全保障問題として既に北朝鮮問題で協力を確認しているが、環境、災害救援、原子力安全、違法漁業規制など、非伝統的安全保障についてもさらに協力を模索している。ただし、日中韓協力が機能するためには、尖閣諸島問題で悪化している日中関係の改善とともに日韓関係の改善が必要である。去る5月、日中韓環境大臣会合(福岡)は開けたが、首脳会談を開けないのは主催国であるソウルにとっても痛手である。いかに対中戦略としての日中韓協力枠組みを「回復」させるか。そのような「戦略」的観点からも日韓両国は協力の方法を探るべきである。
第二に、韓中接近と韓米中トライラテラルの浮上である。冷戦終結以来、韓中接近はたびたびあったが、現在、新たなダイナミックス、即ち日韓/韓中関係が同時に発展する「プラス・サム」ではなく、日韓が停滞し、韓中接近が進むという「ゼロ・サム」的な状況の中で進んでいる。これは(戦後の)日韓関係にとって新たな事態である。韓国がこの構図の動因(ドライビング・フォース)となっており、朴槿恵政権の選択に依るところが大きい。朴槿恵大統領は従来通り、同盟国・米国(5月)を初訪問先としたが、第二の訪問先として、歴代の外交慣例を破り、日本ではなく、中国(6月)に行き、訪米・訪中を成功裏に終えたが、訪日の目処は立っていない。靖国参拝等など歴史問題が朴大統領の訪日を許さなかったという環境要因もあるが、韓国の戦略的な決断もその背景にあるといえる。韓国にとって、米中重視の戦略の中で、中国の戦略的(ならびに経済的)価値が高まり、日本の戦略的価値が相対化されたという現実がある19。
日本はこの状況をどう受けとめるべきなのか。日本国内には韓中接近を過剰に警戒する傾向が一部メディアでみうけられるが、もう少し冷静になって現実に対応したほうが日本の国益に適う。そして現在の日中韓のゼロ・サム状況をポジティブ・サム(ウイン・ウイン)に回復するために、日中のみならず日韓関係の修復を図っていくほかない。
当たり前のことだが、韓中関係は、日中関係に比べれば、発展途上である。日中関係は1972年国交正常化から40年余り経ち、冷戦後は1998年の小渕・江沢民時代の共同宣言と行動計画を策定し、2006年、安倍晋三首相(第一次安倍内閣)時代に従来の日中「友好」スローガンに代わる日中「戦略的互恵関係」、日本版「日中戦略的パートナーシップ」を発表し、東シナ海ガス田共同開発の合意などを実現した20。現在、尖閣諸島問題で日中関係は停滞している。韓中関係は、1992年国交から20年ほど経つが、以来、「友好・協力」から2008年に李明博政権時代に「戦略的」(外交・安保)協力を含めた「戦略的パートナーシップ(同伴者関係)」に転換した。しかし2010年の韓国天安哨戒艦沈没事件ならびに延坪島砲撃事件の対応で韓中関係は冷え込んだ。政権を引き継いだ朴槿恵政権は韓中関係を修復し、中国を米に次ぐ第二の重要な戦略的パートナーとして位置づけ、韓中協力の格上げを図った。その結果が6月末の朴大統領の訪中と韓中首脳会談(北京)である。同会談で、初めて「韓中未来ビジョン共同声明」と行動計画を発表した。それは日韓共同宣言や日中戦略的互恵関係の方式にも類似しており、形式上だが、韓中協力関係が日韓協力や日中協力とようやく肩を並べたことになる。同ビジョンでは、政治・安保分野の戦略対話(「戦略的コミュニケーション」)の強化(外務次官など)とともに、経済・社会協力、人文分野の交流の三つに重点をおいた。「韓日中3カ国協力」の促進も未来ビジョンで確認し、今年の日中韓首脳会談(ソウル)の開催のために協力することが表明された。
また、韓中接近に加えて、韓米中トライラテラルが取り沙汰されている。「韓中未来ビジョン」では言及されなかったが、韓米中三か国戦略対話の実現も朴槿恵政権は視野に入れている21。同枠組みは韓国が提案しているものであるが、当面はトラック1.5で進められると考えられる。これについて日本の一部のメディアでは「日本外し」の手段であると警戒されるが、必ずしもそうとはいえない。これは韓国にとって、米中との協力を維持しながら、韓中戦略協力を強化する枠組みであり、日米韓、日中韓に続く、三つ目の戦略的トライラテラルである。それらがゼロサムになるか、プラスサムの相互補完的な関係になるかは日韓戦略協力の課題の一つである。この枠組みは何を目指しているのかについて、日本を含む北東アジアパートナー国とも理解を深められれば効果的である。
第三に、朴槿恵大統領が提唱している「東北アジア(北東アジア)平和協力構想」(ソウル・プロセス)をとりあげる。北東アジア協力構想は、朴大統領のオリジナルなアイディアではなく、過去の金大中大統領らの北東アジア版ヘルシンキ・プロセス(ヨーロッパの信頼醸成)の提案を復活版ともみられる22。同構想にはまだ具体性がないが、日韓戦略協力を進めるもう一つの枠組みとして検討する価値はある。
朴大統領の構想はどのような内容なのか。朴大統領の2月の就任演説に続き、米国と中国で「東北アジア平和協力構想」を披露したが、それは、気候変動・環境、災害救助、原子力安全、対テロ対策など、「ソフト」な非政治的分野から協力を重ね、徐々に政治、安全保障分野まで協力の範囲を広げていく多国間対話プロセスの枠組みである23。5月の日中韓環境大臣会合の開催もその一環であるとも考えられる。同枠組みは韓国、米国、中国、日本、ロシア、そして北朝鮮の参加を想定している。ただし、北朝鮮の参加は北朝鮮自身が希望すれば、と述べており、「韓半島信頼プロセス」とは異なる、(北朝鮮を除く)五者プラスからはじまる、ソウル主導の「北東アジアの信頼プロセス」ともいえる枠組みである。
ただし、北東アジアの制度(アーキテクチャ)を考えた場合、幾つか不明確な点がまだある。第一に、同枠組みは、日中韓協力枠組みと重複する部分もあるので、同枠組みとの関係を明らかにしていく必要がある。第二に、六者協議枠組との関係性も明確にしていく必要がある。六者協議には「北東アジア平和安全保障メカニズム(NEAPSM)」という分科会(議長国ロシア)が設置されていたが、それとは別の新しいプロセスなのか。いずれ両者がクロスオーバーして、統合されることが構想されているのか。第三に、アセアン地域フォーラム(ARF)や東アジアサミット(EAS)ともアジェンダが重複するので、広域枠組みとの関係についても調整していく必要がある。第四に、フォーマットは、日中韓協力などのようにトラック1の協議なのか、それとも北東アジア協力対話(NEACD)のようなトラック1.5が想定されているのか。制度の目的と形式を明確にしていけば、北東アジアアーキテクチャの中で有用な役割を果たす可能性もある。六者協議が中断し、北朝鮮との対話が全く進まない中、五者にとって議論の場を提供する点で同枠組みは意味がある。しかし、目的が不明確で関係国に理解されない場合、かつてヒラリー・クリントン国務長官が指摘したように、フォーラムが乱立して、効果を発揮できないであろう。
以上は、対中「関与」の枠組みについての議論であるが、最後に、対中バランス、抑止やヘッジ(予防、保険、牽制)について言及しておきたい。田中明彦教授が指摘する通り、「北朝鮮問題および長期的な中国軍近代化への対応においては、日韓両国とアメリカとの間の緊密な連携が不可欠である」24。対中「抑止」(中国の軍備拡張に対する抑止)で日韓協力を表向きに行うことは、北朝鮮問題ならびに将来の統一問題で韓国が中国の協力を必要とする限り、限界があり、困難である25。しかし、韓国は中国の軍備拡張や海洋進出に懸念は抱いているため、対中「抑止」の機能は実質、日米同盟に依存しながら、対中「ヘッジ」(予防)措置として米韓同盟を堅持し、自らの海洋安保能力を向上していくであろう26。同時に、日中のように、韓中も、偶発事故防止協定、ホットラインなどの信頼醸成、危機管理メカニズムを構築し、ヘッジを補完していくであろう。これらは、北東アジアの安定に資するものであり、日本としても奨励すべきである27。以上の通り、日韓の対中戦略協力は、韓国のアンビバレンスが存在するため、「関与」枠組みを最大限に活かしながら、抑止やヘッジにおいて役割分担を考え、「賢く」協力していくべきである28。
おわりに
冒頭で述べたように、日韓戦略協力は、依然として、北東アジアの安全保障アーキテクチャの重要な戦略軸である。ここでは、米国、北朝鮮、中国という三つのファクターに着目し、日韓両国が共に取り組むべき北東アジア安全保障における戦略課題を提示した。しかし、日韓両国は、歴史・領土問題で揺れ、中国の台頭を含む新たな戦略環境にトップレベルで安定して対応できていないというのが現状である。21世紀の未来志向の日韓関係の最初の羅針盤ともなる1998年日韓共同宣言から十年余り経つが、今はその羅針盤すら失いつつあり、日韓関係はトップレベルで漂流しはじめている。
2010年「日韓併合(韓国併合)100年」に際して、日韓新時代共同研究プロジェクトは、1998年に次ぐ、「日韓新時代共同宣言」の採択を提案した29。それは21世紀の「次のデケード」(2010年代、2020年代)を乗り切るための新たなビジョンとなるはずであったが、いまのところ実現できていない。日韓が停滞する中、米韓と中韓は「新時代」に備えて「未来ビジョン」を発表した。「米韓未来ビジョン」(2009年4月、オバマ・李明博会談、ワシントン)と「韓中未来ビジョン」(2013年6月、朴槿恵・習近平会談、北京)である。日韓の新「未来ビジョン」は実現できていない30。次の機会は、2015年「日韓国交正常化50周年」といわれているが、その年は日本の「終戦70周年」と重なる年でもある。朴槿恵大統領と安倍晋三首相は、不信を乗り越え、日韓関係を立て直すことができるのか。それとも両国は漂流し続け、「ロスト・デケード(失われた十年)」を繰り返すのか。
朴槿恵大統領は、就任以来、歴史問題で日本に対して厳しい姿勢を貫いているが、東アジアのパートナーとしての日本に対する期待は抱いている。朴大統領の『自叙伝』で、2005年訪日時、ハンナラ党代表として小泉純一郎首相に伝えた、日韓関係に対する思いが綴られている。
「両国は自由民主主義と市場経済の価値を共有している友邦として、経済、安保など今後協調しな
ければならないテーマがたくさんあります。北朝鮮の核、FTA(自由貿易協定)などを解決し、
東アジア共同体を作ることに韓日両国が中心になるべきです。しかし、残念なことに、両国関係は
独島(竹島)問題、教科書、靖国参拝、慰安婦問題などに引っかかり、先へ進めないでいます。早く
解決して未来に進まねばなりません。」31
歴史問題等については両国に各々の立場があるが、相違を乗り越えて、共通項を見出すことができるのか。両国の未来ビジョンを提示することができるのか。日韓の指導者の政治家としての手腕が問われている。
注
1 神保謙・東京財団「アジアの安全保障」プロジェクト編『アジア太平洋安全保障アーキテクチャ―地域安全保障の三層構造』(日本評論社、2011年)とくに拙著「第4章 北東アジアの地域安全保障協力とアーキテクチャの設計」を参照されたい。
2「日韓共同宣言-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」1998年10月8日(東京)、外務省、
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/yojin/arc_98/k_sengen.html、簑原俊洋編『ゼロ年代 日本の重大論点 外交と安全保障で読み解く』(柏書房、2011年)拙稿「第2章 日本と韓国」、李元徳「第1章 新時代日韓関係の構築のために」小此木政夫、河英善編『日韓新時代と共生複合ネットワーク(シリーズ・日韓新時代3)』(慶應義塾大学出版会、2013年)、16-18頁。
3 拙稿「<巻頭エッセイ>朴槿恵外交始動」『アジ研ワールドトレンド』213号(2013年6月)1頁。
4 拙稿「岐路に立つ米韓同盟-ポスト9.11の米軍変革の中で」小此木政夫編『危機の朝鮮半島』慶應義塾大学出版会、2006年。
5 米軍の「リバランス」の方針は、2012年1月、米国防総省が発表した「国防戦略指針」に示されている。Sustaining U.S. Global Leadership: Priorities for the 21st Century Defense. Washington, D.C.: Department of Defense, January 2012. 対中バランシングともいえる、いわゆるピボット、リバランス戦略は、2010年の南シナ海、朝鮮半島、東シナ海における中国との一連の「摩擦」を経て、2011年以降、オバマ大統領、クリントン国務長官らが表明するようになった。Hillary Clinton, “America’s Pacific Century,” Foreign Policy, November 2011, “Remarks by President Obama to the Australian Parliament,” The White House, Office of the Press Secretary, November 11, 2011.
6 96年前後の日米韓協議については、秋山昌廣『そして日米戦略対話が始まった-安保再定義の舞台裏』(亜紀書房、2002年)を参照。
7 拙稿「『グローバル・コリア』と米韓同盟-李明博政権時代の同盟変革」小此木政夫、西野純也編『朝鮮半島の秩序再編』慶應義塾大学出版会、2013年。
8 日韓新時代共同研究プロジェクト報告書『「日韓新時代」のための提言-共生のための複合ネットワーク構築』(2010年10月),18頁。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/10/PDF/102201.pdf
9 Joint Statement of the Security Consultative Committee, “Toward a Deeper and Broader U.S.-Japan Alliance: Building on 50 Years of Partnership,” June 21, 2011; Joint Statement of the 2nd U.S.-ROK Foreign and Defense Ministers (Two plus Two) Meeting, June 14, 2012.
10 Joint Statement of the Japan, Republic of Korea, United States Defense Ministerial Talks, June 1, 2013.
11 核・ミサイル開発の進展(核弾頭の小型化、ミサイル射程距離の長期化、性能向上等)の分析については、例えば “An Overview of North Korea’s Ballistic Missile Program,” April 23, 2013, The National Committee on North Korea, http://www.ncnk.org/resources/briefing-papers/all-briefing-papers/an-overview-of-north-korea-s-ballistic-missiles, “An Overview of North Korea’s Nuclear Weapons Program,” April 28, 2011, The National Committee on North Korea, http://www.ncnk.org/resources/briefing-papers/all-briefing-papers/dprk-nuclear-weapons-program,
David Albright and Christina Walrond, “Challenges Posed by North Korea’s Weapon-Grade Uranium and Weapon-Grade Plutonium: Current and Projected Stocks, “, October 24, 2012, 38 North, http://38north.org, David Albright,”North Korean Miniaturization,” February 13, 2013, 38 North, http://38north.org, Nick Hansen, “North Korea’s Satellite Program,” Sept.17, 2012, 38 North, http://38north.org, 「北朝鮮による『人工衛星』と称するミサイル実験について」2013年1月25日、防衛省、http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/20130125.html,「核『小型化』、拡散脅威増す 北朝鮮核実験紙上座談会」『日本経済新聞』2013年2月14日、参照。
12 UNSC Security Council Sanction Committee on DPRK, Expert Panel Report, May 11, 2012
13 Jeffrey Lewis and Nick Hansen, “Start Up of North Korean Experimental Light Water Reactor could begin by Mid-2013 if Fuel is Available,” May 1, 2013, 38 North, http://38north.org.
14 対中戦略における日韓の「賢い」協力については、東京財団アジア安全保障プロジェクト『日本の対中安全保障戦略 パワーシフト時代の「統合」・「バランス」・「抑止」の追求』(2011年6月)、英文版The Tokyo Foundation Asia Security Project, Policy Proposal, Japan’s Security Strategy Toward China: Integration, Balancing and Deterrence in the Era of Power Shift (October 2011), http://www.tokyofoundation.org/en/articles/2011/china-strategyを参照されたい。
15 日韓新時代共同研究プロジェクト報告書『「日韓新時代」のための提言-共生のための複合ネットワーク構築』(2010年10月)18頁、外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/10/PDF/102201.pdf
16 同上。
17 同上、18-19頁。
18 Japan-ROK-China Trilateral Summit, Trilateral Cooperation Vision 2020, May 30, 2010.
19 Gilbert Rozman, Intaek Hyun, Shinwha Lee, eds., South Korean Strategic Thought toward Asia (Palgrave Macmillan, 2008), Scott Snyder, China’s Rise and the Two Koreas (Lynne-Rienner, 2009), 文興鎬「第4章 日韓関係の未来と中国の要因」小此木政夫、河英善編『日韓新時代と東アジア国際政治(シリーズ・日韓新時代1)』(慶應義塾大学出版会、2013年).
20 日中関係について益尾知佐子「第2章 日本と中国」簑原俊洋編『ゼロ年代 日本の重大論点』(柏書房、2011年)参照。
21 Park Geunhye, Presidential Candidate, Saenuri Party, Trustpolitik and a New Korea: Foreign Affairs, National Security and Unification Policies (November 2012),『第18代 大統領職引受委員会白書 朴槿恵政府 希望と新時代のための実践課題』(2013年3月)[韓国語]
22 李鍾元「『G2時代』韓国・朴槿恵外交の挑戦」『外交』第18号(2013年3月)98頁。
23 President Park Geun-hye’s speech at the Joint U.S. Congress, Washington, D.C., May 9, 2013; 朴槿恵大統領、清華大学講演(北京)、2013年6月29日、http://www.president.go.kr
24 田中明彦「第3章 中国の台頭と日韓協力」小此木、河編『日韓新時代と東アジア国際政治』前掲書、52頁。「中国の台頭」時代における日韓の役割に対する日本の専門家の見解について、添谷芳秀「中国の台頭と日韓協力-認識の束縛を超えて」小此木、河編『日韓新時代と共生複合ネットワーク(シリーズ・日韓新時代3)』前掲書、75-82頁も参照されたい。
25 東京財団アジア安全保障プロジェクト『日本の対中安全保障戦略 パワーシフト時代の「統合」・「バランス」・「抑止」の追求』前掲、45頁。
26 同上。
27 同上。
28 同上,43-45頁。
29 日韓新時代共同研究プロジェクト報告書『「日韓新時代」のための提言』前掲、7頁。李元徳「第1章 新時代日韓関係の構築のために」小此木、河編『日韓新時代と共生複合ネットワーク(シリーズ・日韓新時代3)』前掲書、18-21頁。
30 陳昌洙「日韓未来ビジョンの構築を」『外交』第18号(2013年3月)57頁。
31 朴槿恵(横川まみ訳)『朴槿恵自叙伝 絶望は私を鍛え、希望は私を動かす』(晩聲社、2012年)254頁。原書は韓国の大統領選挙のあわせて2007年に出版され、日本語版は2012年2月に出版された。