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経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ 第17回「米中ハイテク摩擦下の韓国半導体産業-企業戦略と産業政策の展開-」

2023-10-20
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先端技術を巡る米中間の摩擦が懸念され、経済安全保障への関心の高まりに伴って半導体の設計デザインから製造工程へと注目が再び移るなか、韓国では半導体産業において競争力を維持するための議論が行われています。日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター(以下、「当センター」)は「経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ」第17回会合を2023年10月20日に開催しました。報告者に吉岡英美熊本大学教授をお招きし、「米中ハイテク摩擦下の韓国半導体産業-企業戦略と産業政策の展開-」と題して、韓国の半導体産業の歴史や戦略、課題についてご講演いただきました。

まず、韓国半導体産業が生産力と技術力の双方で高いレベルを有していることが紹介されました。また、DRAMやNAND型フラッシュといったメモリ分野において韓国企業が世界市場で大きなシェアを占めていることについては、韓国企業が設計から製造、組み立て、検査までの一貫生産を行う垂直統合モデルを採用していることが強みとなっているとご解説いただきました。

続いて、韓国半導体産業のメモリ分野における持続的発展・競争優位の要因について論じられました。世代交代が繰り返されるメモリ事業において競争力を維持するためには技術力および設備投資力が特に重要であり、メモリ需要の量的・質的変化、チップシュリンク戦略、脱コモディティ化、韓国企業の垂直統合モデルを基盤とした製品開発力と設備投資力、果敢な投資等といった要因をそれぞれご説明いただきました。

最後に、このような強みを持つからこそ、韓国半導体産業は国際政治の動きに翻弄されてきたとして、韓国半導体産業の現況をご解説いただきました。日韓摩擦や米中摩擦を契機として税制支援や人材育成などの半導体産業支援政策が推進されている状況とその見通しが示されました。その上で、世界的な補助金政策にも言及し、今後は生産の担い手となる企業の実力が問われるとして、事業の継続性、巨大市場を確保することの重要性、製造コストの上昇、国境を超えたエンジニアの移動といった課題が指摘されました。

ご講演を受けて、当センターの髙山嘉顕研究員が、市場、生産、供給の面で中国に依存する韓国企業の立ち位置や、米国による一連の経済安全保障措置に対する韓国側の受け止めに関してコメント・質問を寄せ、さらに議論を深めました。視聴者とのQ&Aセッションでは、米国国内における韓国企業のロビイング状況や中国依存の度合い、日韓の半導体産業への支援政策の違い、日本の半導体政策に対する韓国側の認識、日韓協力の可能性等について活発な議論が交わされました。