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経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ 第15回「防衛装備移転の制度と政策」

2023-07-13
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防衛産業基盤の強化策や、防衛装備移転三原則の運用改正に向けて改めて議論が高まっています。日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター(以下、「当センター」)は「経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ」第15回会合を2023年7月13日に開催しました。報告者に佐藤丙午拓殖大学教授/日本国際問題研究所客員研究員をお招きし、「防衛装備移転の制度と政策」と題して、防衛装備移転に関して日本が抱える制度・政策上の課題等についてご講演いただきました。

まず、防衛装備移転の議論が複雑である理由として、防衛装備移転の目的に自衛隊の強化と外交政策上の影響の2点が共存し、手段と目的が錯綜している点、時代によって防衛生産に要請される条件が異なる点をご説明いただきました。防衛装備の移転は条件次第で防衛生産基盤の強化につながる一方で、防衛生産基盤の強化にあたって防衛装備の移転は必要条件ではないというように、議論の起点の置き方によって展開される議論も異なるとご解説いただきました。

次に、2014年に閣議決定された防衛装備移転三原則によって移転のための要件が緩和されたましたが、その最大の受益者は自衛隊であり、海外活動での活動や部品の修理等が移転件数として最大であると説明がありました。また、国家防衛戦略に従って防衛生産基盤や装備移転に関する議論に進展が見られるものの、防衛装備移転には多くの課題があり、たとえ防衛予算が拡大傾向にあるとしても、調達数の増加が生産基盤の強化に資するかは不透明である点、防衛装備移転の外交政策上の位置づけが不明確である点をご指摘されました。

最後に、防衛装備移転三原則の緩和後も、輸出案件の成功例は限定的であり、技術基盤の維持には課題があるとご指摘されました。制度上の問題への対処のみならず、防衛生産・技術基盤・装備移転の連動を促すことで、民間企業の技術開発インセンティブを高めることが必要であると論じられました。また、防衛装備移転における政府の役割として、民間主導の防衛装備開発を維持・発展させ、防衛産業の利益と外交・安全保障政策との整合性をとることにあると論じられました。

ご講演を受けて、当センターの髙山嘉顕研究員が、先端技術を有するベンチャー企業との連携や自国防衛産業の基盤強化と防衛装備サプライチェーン等における国際連携との間のバランスに関するコメント・質問を寄せ、さらに議論を深めました。参加者とのQ&Aセッションでは、今年成立した防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律が今後の日本の防衛装備移転に対する影響、移転される防衛装備品の種類の優先順位、司令塔機能の担い手、参考になる事例国、第三国移転問題、国民の理解促進などについて活発な議論が交わされました。