CTBTO準備委員会は、核爆発実験を国際的に監視する国際監視制度(IMS:International Monitoring System)を構築し、すべての締約国に関連情報の提供が可能な検証システムの整備を進めています。IMSは世界中に、地震、放射性核種、水中音波、および微気圧振動の監視を行う4種類の監視観測所網を設置し、地球上のいかなる地域で行われる1キロトン以上の核爆発実験も検知可能としています。
IMSは、これら4種類の監視を行う施設並びにその各通信手段によって構成され、技術事務局の国際データセンター(IDC:International Data Centre)の支援を受けます。IMSは、技術事務局の権限下に置かれ、IMSのすべての監視施設は議定書に従い、当該監視施設を受け入れ、またはその他の方法によってこれについて責任を負う国が所有し運用します。締約国は、データの国際的な交換に参加し、IDCが利用し得るすべてのデータへのアクセスが認められる権利を有します。
CTBTの規定により、日本にはIMSの監視施設337か所の内、以下の10か所の設置が義務づけられています。
日本のIMS監視施設
地震学的監視観測所/計6ヵ所 (施設運用者:日本気象協会) |
主要観測所:松代(PS22) 国際データセンター(IDC)に対し、24時間オンラインで地震データを送信する。 |
---|---|
補助観測所:大分(AS51)、国頭(AS52)、八丈島(AS53)、上川朝日(AS54)、父島(AS55) IDCの要請に応じ、地震データを送信する。 |
|
微気圧振動監視観測所/1か所 (施設運用者:日本気象協会) |
いすみ(IS30) IDCに24時間オンラインでデータを送信する |
放射性核種監視施設/計3か所 (施設運用者:(日本原子力研究開発機構) |
放射性核種監視観測所:沖縄(RN37)、高崎(RN38) |
放射性核種実験施設:東海(RL11) |
IMS施設国内配置図
これら10か所で収集されるデータは、CTBTO準備委員会があるオーストリアのウィーンのIDCに送られます。IDCは送付されたデータの処理および保管を行うとともに、標準的なサービスの範囲内で、締約国に関連データ(未処理の生データおよび処理済みデータ)並びにIDCが作成した資料を送付します。各締約国は、IDCから入手したこれらのデータを解析・評価し、核爆発実験に起因すると思われる事象を抽出し、現地査察の必要性について国の責任で判断しなければなりません。
なお、これまでの北朝鮮による核爆発実験の際には、松代などの地震学的監視観測所において地震波を検知しました。また、2013年の核爆発実験の際は、高崎に設置されている放射性核種監視観測所の希ガス観測装置において核実験由来の放射性キセノンを検出しました。