米欧諸国はウクライナに対する軍事支援を強化し、ウクライナは反転攻勢に出たが、戦況は膠着の傾向を強め、戦争の終結と復興を見据えた外交的な動きが活発化した。フィンランドのNATO加盟実現に続きスウェーデンの加盟もほぼ確実となった。ロシアによるベラルーシへの核兵器配備やロシアの民間軍事会社ワグネルのベラルーシへの移動を受けて、NATO北東方面の緊張が高まった。中国はロシアとの関係強化を続けているが、対話による停戦を呼びかけるとともに、ロシア・ウクライナ間の仲裁への意欲も示した。一方で、10月に発生したハマス・イスラエル紛争により、ウクライナ戦争をめぐる動きが後景に退いた感は否めず、米国連邦議会ではバイデン政権が要求した610億ドルのウクライナへの軍事支援予算案が審議されない状態が続く。米国をはじめとする西側主要国からの対ウクライナ支援が今後滞るとなれば、双方が決定打を欠く状態は続くこととなり、戦争の一層の長期化は避けられない。
『戦略年次報告2022』の本章は2月20-21日に開催される第4回東京グローバル・ダイアログ(TGD4)の次のセッションにもリンクしています。
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