自由で開かれた安定的な国際秩序がパワーバランスの変化と地政学的競争の激化に直面する中、2022年12月、日本政府は「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」を改定した。「国家安全保障戦略」は、日米同盟や豪州など同志国等との連携強化を中心とした自由で開かれた国際秩序の強化のための外交を掲げるとともに、防衛力の抜本的強化を打ち出した。
防衛力強化については、反撃能力の保有の必要性とこのための具体的な方策を掲げたことが、戦後の日本の安全保障政策における大きな転換として特筆される。また、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取り組みをあわせた予算水準が、2027年度に現在のGDP の2%に達するよう所要の措置を講ずることとされた。経済安全保障が新たに含まれたことも今回の「国家安全保障戦略」の特徴であり、安全保障の対象が従来の伝統的な領域から経済や技術にまで拡大したことを象徴している。
第1章から第4章までに既述の国際情勢及び今般の「国家安全保障戦略」等3文書の発出を踏まえ、各分野・地域毎に提言を行う。
『戦略年次報告2022』の本章は2月20-21日に開催される第4回東京グローバル・ダイアログ(TGD4)の次のセッションにもリンクしています。
【パート3】米国主導の国際秩序の行方 | 日時2/21(火)18:30-20:00 (オンライン) |