以前から冷戦構造が継続する北東アジアでは、北朝鮮がICBMを含む多数のミサイル発射により地域と国際社会への脅威を一層高める中、韓国で5年ぶりに誕生した保守政権は、対北朝鮮・対日政策や安全保障分野で、前政権の方針を大きく変更した。中国は、自国でのコロナ対策と経済減速への対処に苦慮しつつも、インド太平洋地域を中心に軍事力増大と政治的・経済的影響力の拡大を続けた。米国は、ロシアのウクライナ侵略後も引き続きインド太平洋地域を重視し、中国を戦略的に最も重要な競争相手と見なす一方、中国との関係をマネージしようとしている。しかし、政治、経済、軍事のあらゆる側面で競争と対立が続く米中関係は、2022年には特に台湾を巡って緊張の度合いを高め、根本的な緊張緩和の見通しは立っていない。
米国は中国に対抗する形でASEAN 諸国との関係強化を図り、また、中国の太平洋島嶼国への積極的な働きかけをきっかけに、この地域の戦略的な重要性が注目された。経済安全保障分野では、米国はサプライチェーン強靱化や重要物資の安定供給の確保などのため同盟国やパートナーとの連携により「フレンド・ショアリング」を進める動きを加速し、日本を含む各国も新たな制度や支援策等の策定を具体化させた。
『戦略年次報告2022』の本章は2月20-21日に開催される第4回東京グローバル・ダイアログ(TGD4)の次のセッションにもリンクしています。
【パート1】米中競争とインド太平洋 | (1) 政治・安全保障 (2) 経済 |
日時2/21(火)09:00-10:30 (オンライン) 日時2/21(火)10:45-12:15 (オンライン) |
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特別セッション 日本周辺の海洋安全保障 日時2/21(火)12:30-13:30 (オンライン) |