2021年の中東では、米軍のアフガニスタン撤退の完了とタリバン政権の復活が地域秩序の転換を象徴する動きとなった。米国が中東からインド太平洋に外交安全保障の焦点をシフトさせる中、中国とロシアがこの地域での存在感を高め、特に中国は、イスラエル、湾岸アラブ産油国、イラン、トルコとの関係を強化するなど、域内秩序の再編が進んでいる。米国・イラン関係は双方での政権交替により新たな局面を迎え、JCPOAの行方に注目が集まった。さらに、いまだ終結をみないシリアやイエメンでの代理戦争と難民問題の閉塞的状況、コロナ禍対応の不備への抗議を発端としたチュニジアでの政変、民政移管プロセス下のスーダンでの軍事クーデター、エチオピアでの軍事衝突等、北アフリカ地域を含む安全保障上の課題は山積している。
「戦略年次報告2021」の本章は、3月2-3日に開催される第3回東京グローバル・ダイアログ(TGD3)の次のセッションにもリンクしています。
「国際社会の対応 (2): 価値と技術」 | 3月3日(木)16:15~17:30(オンライン) |