ロシアにとって2020年が未知の新型コロナウイルスへの対応に迫られた1年であったとすれば、2021年はパンデミックからの出口戦略が模索された1年であったと言えるだろう。コロナ状況がやや改善した年初以来、ロシアでは経済優先の姿勢を明確にして感染防止策を順次緩め、外交面では6月に対面による初の米ロ首脳会談を実施し大規模な国際会議を再開するなど、前年余儀なくされた停滞からの巻き返しを図った。だが、感染防止策よりも経済再開を優先したことにより、2021年秋以降、ロシア国内では再び感染拡大に見舞われており、また外交面でもアメリカをはじめとする西側諸国との目立った関係改善はならず、むしろ対立関係は近い将来も続くことが予想される。米中対立が強まる中、アメリカへの対抗上、ロシアは中国への傾斜をますます強めている。
「戦略年次報告2021」の本章は、3月2-3日に開催される第3回東京グローバル・ダイアログ(TGD3)の次のセッションにもリンクしています。
「国際社会の対応 (2): 価値と技術」 | 3月3日(木)16:15~17:30(オンライン) |