2021年を通じて、北東アジアの安全保障環境はさらに厳しいものとなった。とりわけ、台湾への軍事的圧力を強める中国に対して、国際社会では台湾海峡の平和と安定の維持を求める声が強まり、米国と同盟国は冷戦終結後最大規模の兵力を西太平洋に展開させた。また、北朝鮮は経済的苦境の中でも対米関係の立て直しを図るべく核能力の増強・核保有の既成事実化と軍備近代化を強行し、その一方で日米韓・日韓の協力体制の課題が浮き彫りとなった。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日本でも台湾有事における日本の役割や、北朝鮮と中国の新たな核ミサイルの脅威に備えた敵基地攻撃についての議論が活発に行われるようになった。
「戦略年次報告2021」の本章は、3月2-3日に開催される第3回東京グローバル・ダイアログ(TGD3)の次のセッションにもリンクしています。
「激化する米中競争 (2): 海洋」 | 3月3日(木)11:00~12:15(オンライン) |