国際関係や国際安全保障の文脈で先端技術に対する注目が集まるなか、技術の覇権を巡る争いが顕在化している。最も顕著な技術争覇の形態は、純粋な技術優位を求める技術競争である。第一に、各国は技術力を自国の安全保障上の利益に直結するものとして、より直截的に言えば力の源泉として位置づけ、相対的な技術優位を追求している。そこには、破壊的な技術革新(disruptive innovation)がうむ先端技術を軍事的なゲームチェンジャーとして期待/懸念する各国の姿がある。第二に、国家の技術力は軍事力の優劣のみを決定するものではない。技術は外交ツールとしても使われる。ある製品のチョークポイントとなる重要技術アクセスに対する制約を課して、相手国に譲歩を迫るなどである。