2017年11月、北朝鮮は「核戦力の完成」宣言を行い、実質的に「対話モード」へと踏み出した(翌年4月には核実験・ICBM発射実験の中止と核実験場廃棄を表明)。そしてこれを契機として、朝鮮半島情勢は各国の思惑が入り組む形で、急速に動き出すこととなる。口火を切ったのは北朝鮮との平和共存・共同繁栄を掲げて発足した韓国・文在寅政権であった。翌2018年2月の平昌冬季五輪への北朝鮮の参加を契機に再開された南北間の接触は、同年4月、板門店で約11年ぶりの南北首脳会談へと結実した。また、非核化と平和体制構築の同時進行という構想のもと、韓国政府は米朝間の仲介にも力を入れ、特使外交を通じて3月には史上初の米朝首脳会談実施の約束を米朝双方から取り付けた。