日本国際問題研究所では、領土・主権・歴史の分野において、平成29(2017)年より調査研究及び対外発信事業を実施しています。その成果の一環として、以下の3冊の論文集を東京大学出版会から刊行しました。
『国際法からみた領土と日本』は、尖閣諸島や竹島をめぐる情勢など日本が抱える領土・主権に関する問題に展望を拓くため、領域概念の歴史的変遷と領土紛争の解決法理を多角的に論じた学術論集です。第一線で活躍する国際法研究者を中心に、永年の課題を独自の視点から広く深く分析し、厳しさを増すこれらの問題に新たな示唆を導き出します。
他方で歴史分野においては、『サンフランシスコ講和と東アジア』と『日中戦争研究の現在』の2冊を出版しました。前者では、これまで米国の史料を中心に研究されてきたサンフランシスコ平和条約の歴史的意義を、日本および東アジア、さらに国際的な文脈から問い直し、戦後東アジアの地域秩序形成の歴史像を多角的・包括的に捉え直しました。後者は、盧溝橋事件を発端にはじまり、現在に至るまで日本(日本人)に大きな影響を与えている日中戦争について、日本国内の政治・社会の分析をはじめ、蔣介石日記など中国側の史料や、欧米を中心とした国際情勢の分析をもとに、新たな歴史像を再構築したものです。
論文集の詳細については、以下の東京大学出版会のページをご参照ください。
柳原正治・兼原敦子編『国際法からみた領土と日本』
http://www.utp.or.jp/book/b598950.html
川島真・細谷雄一編『サンフランシスコ講和と東アジア』
http://www.utp.or.jp/book/b600568.html
川島真・岩谷將編『日中戦争研究の現在』
http://www.utp.or.jp/book/b600565.html