日本国際問題研究所は、2024年4月25日に、アブラハム L. ニューマン・ジョージタウン大学教授をお招きして、公開ウェビナー「経済安全保障:武器化する経済」を開催しました。司会を飯田敬輔・東京大学大学院法学政治学研究科教授(経済安全保障研究会主査)、コメンテーターを猪俣哲史・ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員が務めました。
ニューマン教授は、共著者のヘンリー・ファレル教授とのご著書である『武器化する経済:アメリカはいかにして世界経済を脅しの道具にしたのか』(日経BP)に基づいて、世界を急速につないだ貿易、金融、情報のグローバルネットワークは、実は少数の国家や大企業が中央集権的な力を握っており、グローバル政治においてそのネットワークの中心性を利用した「相互依存の武器化」が進んでいることを説明しました。アメリカの経済安全保障の政策が、欧州など他地域の政策に及ぼした影響、TSMCやマイクロソフトなどの企業が地政学的緊張の複雑な間での対応を迫られたことの影響について論じました。また、同教授は「相互依存の武器化」が意図せぬ結果を招くリスクを指摘し、経済的利益と地政学コントロールのバランスを保つ重要性と経済安全保障の政策を慎重に管理するための適切な制度を構築すべきであると述べました。
講演に続いて、猪俣氏から、国際産業連関表に基づいたグローバルサプライチェーンの脆弱性を評価するための新しいリスク指標を紹介し、経済分析の視点からグローバル経済ネットワークと地政学リスクをどう評価すべきかということを議論しました。聴衆からも多くの質問が出され、活発な議論が行われました。
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