イベント実施報告

公開ウェビナー「経済安全保障:中国の技術・安全保障の優位性を巡る戦略」

2024-02-08
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日本国際問題研究所は、2024年2月8日に、タイ・ミン・チェン(Tai Ming Cheung)カリフォルニア大学サンディエゴ校国際政策戦略学部教授/国際紛争・協力UC研究所所長をお招きして、公開ウェビナー「経済安全保障:中国の技術・安全保障の優位性を巡る戦略」を開催しました。司会を飯田敬輔・東京大学公共政策大学院院長・教授(経済安全保障研究会主査)、コメンテーターを土屋貴裕・京都先端科学大学准教授が務めました。

本講演では、チェン教授のご著書である " Innovate to Dominate: The Rise of the Chinese Techno-Security State" に基づいて、2050年までに軍事的・技術的優位性を達成すること目指す中国が、習近平政権下において「テクノ・セキュリティ国家」として、イノベーションの重視および国家安全保障を優先する軍民融合を推進していることを説明し、現在の米中競争では、軍事、商業、デュアルユースの技術分野が相互に重なっており、軍事領域と民間領域の境界線が曖昧になっていることを理解することの重要性を強調しました。また、中国の軍民融合の政策的な優先順位は高い一方で、そのフルスケールでの実現には構造的な課題が残されていることを指摘しました。中国の国家主導型アプローチと米国の市場志向型アプローチを対比し、両大国のガバナンス、脅威認識、官民統合の違いを分析し、米国が一定の優位性を維持する一方で、中国がテクノ・セキュリティ・ギャップを縮めようと努力を続けていることを指摘しました。

講演に続いて、土屋准教授から、中国の軍民融合の有効性、国家主導のテクノ・セキュリティ・システムの特殊性、中国のテクノ・セキュリティ戦略の起源、経済成長が鈍化する中で軍民融合戦略を推進していけるのかなどの質問を投げかけ、活発な議論が行われました。