日本国際問題研究所は、2021年10月19日、国連広報センター、国連防災機関(UNDRR)駐日事務所および外務省と共催し、公開ウェビナー【「国際防災の日」記念】「防災の現在地とこれから:SDGs・気候変動の視点と日本のリーダーシップ」を開催しました。
近年、気候変動の影響により激甚化・頻発化する気候関連災害、新型コロナウィルスなどの感染症も含む複合災害の課題に日本も含め世界中が直面する中、包括的かつ統合的なアプローチによる防災への取組みの重要性が増しています。また、日本が災害との戦いの歴史の中で得てきた知見・経験・技術で強みを持つ防災分野は、日本の外交を進めるうえで重要な一角を占めています。
ウェビナーでは、SDGs・気候変動と防災の分野横断的な関係性を踏まえた広い視点から、防災のこれから、今後日本がどのように国際社会でリーダーシップを発揮していくことができるのかについて最前線で活躍される実務家・専門家が活発な議論を行いました。
市川とみ子・日本国際問題研究所所長が開会挨拶を行い、続いて水鳥真美・国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長から、「地球の強靭性(レジリエンス)向上のために - 仙台防災枠組とSDGsの達成、そして日本への期待」と題する基調講演をいただきました。水鳥特別代表は、災害が人々の生活にもたらす被害は甚大であり、強靭性なしに持続可能な社会の実現はなしえないこと、気候関連災害の激甚化・頻発化に適応するため防災政策・災害リスク管理ガバナンスの強化をすべきであること、防災・気候変動対策・持続可能な開発を三位一体で推進することが必要であることを訴え、新しい時代の災害リスク削減への投資、国際協力の増進、日本のリーダーシップの重要性と期待を述べました。これに続き、根本かおる・国連広報センター所長がモデレーターを務め、原圭一・外務省国際協力局参事官(地球規模課題担当)、イブラヒム・ウェイス・駐日モルディブ共和国特命全権大使、郡和子・仙台市市長、石渡幹夫・東京大学大学院客員教授からなるパネリストが、日本の防災協力、島嶼国のモルディブ共和国の経験、仙台市における復旧・復興から防災環境都市への取組み、防災投資の効果測定について、それぞれ発表を行いました。さらに、水鳥特別代表から各発表へのコメント、視聴者からの質問への回答を含め、活発な議論が行われました。