日本国際問題研究所は、2021年4月15日、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブとの協議をオンラインで実施しました。
協議には日本・ロシア双方から専門家が参加し、インド太平洋地域における戦略的環境の変容と日ロ関係の展望をテーマに意見交換が行われました。
日本側参加者からは、アジア・シフトという地政学的変化が起きているなかで「インド太平洋」概念が登場していることを踏まえ、米中、米ロの対立を背景に中ロの戦略的パートナーシップの深まりが見られる一方、複雑化する東アジアの国際関係の中での日ロ協調にはこの地域の安定的発展のために大きな意義があることなどが指摘されました。また、インド太平洋地域を自由で開かれたものにしようとする今日の日本の外交スタンスは、ロシアの目指す「多極世界」とも重なるところがあるとの指摘がありました。
ロシア側参加者からは、インド太平洋地域においては米中による二極化の流れと、米中両国に加え日本・韓国・インド・ASEAN諸国なども積極的に外交を展開する多極化の流れが並行しており、多様なパートナーとの関係強化によって多極化を推進しようとするロシアにとって、日本との協力関係の構築が戦略的に大きな意義を有していることが指摘されました。他方、日米両国が中心となって進めているQuadは、ASEANをはじめとするアジア諸国に米中どちらの陣営につくのかを迫り、「新冷戦」をこの地域にもたらしかねないといった意見もありました。
本件に関する、ヴァルダイ・ディスカッション・クラブ側の発表については以下のリンクをご覧ください。
https://valdaiclub.com/a/highlights/russia-and-japan-in-search-of-strategic-empathy/(英語)
https://ru.valdaiclub.com/a/highlights/rossiya-i-yaponiya-v-poiskakh-strategicheskoy-empatii/(ロシア語)