第6回東京グローバル・ダイアログ 第1セッション

第6回東京グローバル・ダイアログ 第1セッション

第1セッション「米新政権と国際秩序:日本の立ち位置」

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本セッションでは、トランプ第二期政権が発足したが、ワシントンの政策コミュニティは同政権の方向性を把握しきれてはいないという指摘が挙がった一方、トランプ大統領は各イニシアティブの相互連関に関心を払っておらず、結局のところ同大統領のもとに様々な政策グループが統一されていくだろうとの指摘があった。

米国のインド太平洋政策には、米中間の戦略的競争関係を背景に、オバマ政権、トランプ第一期政権、バイデン政権、トランプ第二期政権へと続く連続性があるとの指摘があった。また、トランプ政権発足後の初動としては、日米間の対話のチャネルを確保し、信頼関係を強化することの重要性が強調された。さらに、日本を含む各国は自国のために何をしようとしていて、米国のために何ができるのかを首脳会談でトランプ大統領に直接説明することで関係を強化することは十分可能であるとの指摘もあった。

インド太平洋地域の安全保障環境は厳しさを増しており、「力による平和」を標榜し同盟国に防衛負担増を求めるトランプ大統領の登場にかかわらず、日本は現実の危機に見合う防衛力の強化を自主的に行うべきであると指摘された。

サイバー、人工知能(AI)、ドローン等の新興技術の重要性が共有され、これらの分野における日米の産業協力の重要性も強調された。USスチールの買収問題も同様に、日米間の産業界の信頼関係の構築が今後より一層重要になるであろうことにつき見解の一致が見られた。

また、「タリフ・マン」を自称するトランプ大統領にとって関税はあくまでも交渉材料であることを理解し、必要以上に恐れず胸襟を開いて交渉する必要性が指摘され、過度な高関税がインフレを始めとする米国経済に及ぼす影響についても注視し、交渉に当たるべきと指摘がなされた。

トランプ大統領の国際秩序に対する関心の低さ、同盟国を蚊帳の外に置いたディールを行う危険性、意に添わない国に懲罰的な関税をかける構えを崩さないといった点を懸念する声が多く挙がった。また、トランプ大統領は交渉の際に西側のリーダーにはバッド・コップを演じ、プーチン大統領や金正恩総書記にはグッド・コップを演じるとの指摘もなされた。